TWSBI Everyday

2020/06/05 00:53

今年2月からTWSBIはニブやリングなどにローズゴールドの18KをプレーティングしたECO, DIAMONDの新ラインを発表し、世界中で常に品薄が続く人気商品となっています。キンキラでない優しいトーンのゴールドが上品なイメージで、ヒット商品になったのもうなずけますね。黒にも白にもよくマッチしているなと思います。(写真上)

幸運にも私は昨年の10月、このローズゴールド仕様の試作段階でTWSBI会長(創業者)に大阪でお目にかかり、さまざまなお話を伺う機に恵まれました。
TWSBIといえば次から次へと矢継ぎ早に新製品を発表しているブランドだと感じておられませんか?私も以前はそうでした。しかしそれは大きな誤解であったことを会長とのお話の中で知ることができました。

プロトタイプー試作品が出来上がった段階で会長ご自身が必ず実行されることがあります。それは、試作品数本にインクを入れ、ジャケットのポケットに無造作に放り込み、最低でも3か月あちこち持ち歩き、書き、テストすることです。実際、大阪でお会いした時、会長は左ポケットから3本の試作品を取り出し、見せてくださいました(写真下)


海外出張が多い方なのでそのまま飛行機にも乗られます。機内の気圧変化で、造りの粗雑な万年筆はインク漏れを起こすことがあります。(苦いご経験をお持ちの方もおられるのでは?)万一そうなれば、会長の(おそらく高価な)ジャケットはインク染みがついて一巻の終わりです。彼はそのリスクを意図して自分に課し、試作品数本と共に長い旅に出られます。今まで、幸いにしてジャケットがインクで汚れたことはまだないそうです。

また、試作品をペンケースに入れず、そのままカチャカチャ言わせながらポケットに入れておかれるのにも目的があります。摩擦による傷がつかないかどうかを点検することです。メタル部分、ポリカーボネイトのペン軸、キャップ等に擦り傷がつかないかを自ら点検されています。そして宿泊先などで字を書き、ペンとしての性能も確かめる。この検証期間を最低でも3か月続けておられるのです。

ローズゴールドモデルは、このような厳しい創業者のチェックを経て誕生しました。歴代すべてのTWSBI万年筆も然りです。

ECOホワイトローズゴールドと、DIAMOND580スモークゴールドに関して、最も時間をかけて試行錯誤されたパーツは、18Kプレートされたニブ(ペン先)だとか。ペンの命とも言えるニブに均一に18金をプレーティングし、長年の使用でも剥げない厚みを確保、インクによる腐食にも負けない仕上げという条件をクリアしています。

万年筆も気に入って買ったのなら長く使いたいですよね。TWSBIの真摯で時間をかけたペンづくりに私は深く共感します。昨年の貴重な体験を踏まえ、皆さまにもシェアさせていただきたいと思いこれを書かせていただきました。