TWSBI Everyday

2020/06/11 11:13





TWSBIのニブ(ペン先)はステンレス製です。最近発表されたローズゴールドモデルも地素材はステンレス、その上に18Kをコーティングしています。

「万年筆のニブはやっぱり14Kや18Kのソリッドゴールド(純金)が一番」「ソリッドゴールドのニブは育てがいがある」などなど、たまに万年筆を愛好する方からお聞きすることがあります。たしかにパーツの原価だけを比較すれば、ステンレスよりゴールドの方が高く、それはペンのお値段にきっちり反映されています。

ステンレスは、では、書き味、育てがいといった点で、ゴールドには劣るのでしょうか?
これについては、私はTWSBI万年筆のファンとして、自分なりの考えを持っています。

結論を先に書かせていただくと、ステンレスにはステンレスなりの書き味、個性があります。そして仕上げの良いステンレスニブは何年もかけて大事に育ててゆくことができます。下に、できるだけ短く、その理由を並べてみたいと思います。

1.ニブの品質は、ゴールド、ステンレスにかかわりなく、いかに丁寧に仕上げられているかにかかっています。耐久性、弾力性はもちろん、インクや水による腐食を防ぐための処理も重要です。TWSBIのニブはこれらを高いレベルでクリアし、さらにTWSBI本社(台北市)の品質管理部門には専任のテスターが常駐、1本1本インクをつけて書き味をチェックしています。私の目視では、合格率は85%程度、残りのニブは情け容赦なく「カランカラン」と音を立てて、「不合格」トレイに投げ込まれていました。

2.ニブで次に大切なのは、硬さ・柔らかさの「味つけ」です。TWSBIのニブはステンレスの特性を活かし、やや硬めの設定です。この硬さは一定の太さの線をコンスタントに書き続けるのにもってこいです。TWSBIの開発理念、「長く書いても疲れない実用的な万年筆を」はこのニブに見事に体現されていると思います。
初心者の方が最初から18金などの柔らかい万年筆を買うと、ペン先がグニャグニャしてコントロールに苦労します。TWSBIのニブであれば神経質にならず、スラスラ書き始めることができるように思います。ビジネスでガンガン使う方が多いのもうなずけます。

3.「ペン先を育てる」という点については、僭越を承知で書かせていただきますと、とても多くの方が誤解されています。育てるのはゴールドやステンレスの剣ではなく、その裏に付いている丸いポイント、イリジウムなのです。ここを紙に当てて書くうちにその人なりの個性や癖によってイリジウムが磨かれ、削られ、その人だけの1本に育つのです。TWSBIのニブには純金の万年筆と同等、同量のイリジウムが使われています。ゆっくり年月をかけて自分だけのペンに育ててゆくことができます。

4.ステンレスは安くて丈夫。腐食や錆にも負けません。TWSBIのもう一つの開発理念、「本格万年筆を良心的価格で」はすでに多くの皆様にご納得いただいているのではないでしょうか?

ステンレスニブについて考えるところを書かせていただきました。何等かお役に立てばうれしいです。