2020/06/13 12:06
TWSBIのボックスを開けると、ペン、保証書・取扱説明書(日本の総卸元、㈱酒井によってすべて日本語化されています)の他に小さなレンチやグリースの入ったボトルが入っていて、なんとなく楽しい気分にさせられます。
TWSBIの万年筆(ピストン吸入式のみ)は、これらのキットを使ってオーナー自身で分解、組み立てができるようになっています。
これは、いかにTWSBIのペンが精巧にしっかりと造られているかということの証だと思っています。また、ペン素材や環境への負荷を考慮し、接着剤を極力使わない設計だからこそ、レンチ一つで組み立てができるのだと感心させられます。
しかし、ペン自体の仕上げ、品質チェックがしっかりしているので、このワクワク工具を使って分解したり、組み立てたりする必要は実はほとんどないんですよね。遊び心でちょっとやってみようと仰るのであれば別ですが、その場合には、YouTubeなどにアップされたチュートリアルをしっかりご覧になってからトライしてみてくださいね。TWSBI本社のオフィシャルサイトでも、英語ではありますが分かりやすいビデオレッスン(チュートリアル)があります。
さて、いくつか皆さまにアドバイスを。
1.インク交換などのためにインクリザーバーを洗浄する時は、水かぬるま湯洗いだけで十分です。分解する必要はありません。まずはインクを全部出して、ピストンで何度か中に水(ぬるま湯)を出し入れしてきれいになれば、キャップをせずに日陰干しを。自然に中の水分が抜けてゆきます。(※但し、中に残っている水滴についてさほど神経質になられる必要はありません。)
2.何年も使用されてピストンの動きが固く、鈍くなった場合には初めて分解・組立キットの出番かもしれません。分解して中のピストンを取り出し、ピストンリング(先端の黒い輪っかですね)のペン軸と接する部分、ピストン軸に付属のグリースを綿棒などでほんの少し塗ってください。(ちなみに私は3年以上ダイヤモンドを使っていますが、まだまったくその必要を感じておりません。)
3.「行きはよいよい帰りはこわい」とまでは申しませんが、分解するのはおそらく100%の方が成功されるでしょう。問題は組立てです。ピストンの位置を正しく復元するのにはちょっとコツが必要です。何回か試行錯誤されることを覚悟でお試しいただければ、おのずとコツが分かってまいります。しっかり造られたペンですので簡単には壊れません。安心され、焦らず、じっくりとトライなさってみてください。
4.組立て中のトラブルに関しては、ご相談は承りますが、保証の対象外となっております。どうかご理解くださいませ。
数回トラブルのご相談は経験しておりますが、卸元、㈱酒井さんが親身で対応してもらえるので、すべて円満解決できています。ちなみにトラブル内容はいずれも「ピストンの復元がうまくゆかない」でした。
「さあどうぞ、付属のツールで分解、組立てを楽しんでみてください」というTWSBI社の遊び心、かっこいいと思います。製品のクオリティに自信があるからこそできるサービスですよね。赤いレンチはTWSBI製作チームの誇りを形にしたもののように見えます。