2020/06/22 21:20
これはTWSBIだけに限った話ではありませんが、1年間を通して万年筆の滑りが一番良いのは梅雨どきだなあと毎年思います。
皆さまも同じ万年筆の書き味が季節によって違うとお感じになることはありませんか?
これは私が30年ほど万年筆を使ってきての、独断による分析ですが、梅雨の頃は湿度が高く、まだエアコンをかけるほどでもない、という条件が万年筆にとっては最適ではないかと思うのです。ペン先が常に湿潤に保たれて、インクが乾くことがないからです。
もう少し暑くなってきて、終日エアコンをかけるようになると、ペン先の滑りが少し鈍くなりがちな気がします。理由は明白で、エアコンのドライな冷風があっという間にペン先を乾かしてしまうからです。打合せで話に夢中となり、キャップをしばらくせずに置いていた万年筆でノートを取ると、インクがかすれたり、ペン先が空滑りすることがあります。
こういう場合には、ハァ~とペン先に息を吹きかけるか、TWSBIですとテールノブをひねって少しインクを押し出してやるとだいたい調子が戻ります。但し、ノブをひねり過ぎるとドバっとインクが出て、ノートにポタポタということになってしまいますので、注意が必要です。
冬の暖房時も要注意ですね。カラカラに乾燥した温風でニブが乾きやすくなります。書かないときはマメにキャップをして、ニブの潤いを保たないとかすれが生じやすくなります。
こうして見てみると、万年筆ってけっしてパーフェクトな筆記具ではありません。ムラがあります。環境、気候、季節によって書き味に差がでます。しかし、万年筆のこの人間らしい感覚が私は大好きで、やめることができません。ビジネスの打合せもプライベートも、モノを書くときにはインクで書きたいと思うのです。皆さまはいかがですか?
梅雨は雨でステイホームの時間も増えます。窓を開けてちょっと湿り気のある風を招き入れ、エアコンや除湿機はかけず、TWSBIで書き物を楽しんでみてください。忌み嫌われがちな湿度にもちゃんと役割があるのだなと実感されると思います。